2003年の3月14日は、金曜日だったが、振り替え休日だったので、しばらくぶりで会った同年齢の女友達と、仙北の温泉に行った。帰りによった競走馬の牧場には、まだ雪が沢山残っていて、長く温泉の露天風呂に入ってほてった体には、寒いよりは、むしろ気持ちがいいね、なんて話をしていた。
そこから、4号線に出て、仙台に戻りかけた所で、体の右側に生まれて初めての感じが走った。なんだこれは。全身の毛穴から、何かニュルニュルと出てくるような、へんなゾワゾワ感。シャツの袖口とか腕時計のバンドとか、体に触っているところの触覚全部が過剰に感じている。車に酔ったように気分が悪くなって、車を止めて外に出ると、急に、ものすごく疲れた感じ。
脳内出血の始まりだった。一緒に乗っていた彼女が、経験豊かな人だったおかげで、手早く医者に行って、救急車で脳神経外科に運び込まれ、そのまま夜中、頭蓋骨をあけた。次に気がついたときは、集中治療室で、様々な幸運と良い偶然が重なって、僕は生き返った。ほとんど麻痺は残らなかった。
今、2006年で、また、3月15日が過ぎていく。本当に、心から、嬉しい。