思いもよらぬことは、
多分無い。
考えていなかったことは、
無数にある。
困ったもんだ。
2024年 5月 6日
空気自体がほの暖かい。その空気が風になって、遠くにプロペラ機が飛んでいる。
昨日は一日快晴の子供の日(端午の節句)で、僕は、岩沼の花トピアという施設で実施されたライブスチームロコモテイヴ(SL)走行会(乗車体験会)の手伝いを1日していた。
この時期もちろんゴールデンウイークという事もあるが、金蛇神社の入り口にある花トピアのあたりは1日ものすごい渋滞になる。芍薬と牡丹とフジが今年は同時に満開になったので、それらの花が有名な金蛇神社は、それだけで超渋滞なところでの実施。なので、朝早く(と言っても7時半過ぎだが)ここ暫く動かしていなかったハンターカブ(小さいモーターサイクル)で出かけた。
公園の奥の広い丸い花壇の周りにレールを敷く。模型とはいえ、本物の蒸気機関車だから本物と同じような気配り。そうしないと、割と簡単に脱線する。何しろやっている人達が元「国鉄」のOBだったりするので、一緒にいて話を聞いて言われたとうり作業をさせてもらうだけで、面白い。運転係と保守整備の係。こり方が専門的。模型とはいえ、蒸気機関車は小さくても1台70キロ程もあるので、機関車とテンダー(石炭積んでるやつね)を別々のコンテナに積んではこんんで来る。
線路は、本当は本物と同じに砂利を敷いて水平を出したいのだが、場所借りているわけだからそうもいかず、アスファルトの上に直線と曲線を混ぜて何とか大きな丸を作り、そこから1ヶ所分岐して行き、その先に各自が持ってきた分岐をつけて各自のヤードを作っていく。線路を引いてから、小さく切ったベニヤ板を、所々に挟んで水平を出していく。え、そこに挟むの?うん、そこ少しカントいるからね。いやはや。
そうしてやっとそこに各自の持ってきた模型の機関車を下ろしていく。持ち主はみんなハイエースのような大きなバンで東北中からやって来る。こんなふうに思う存分動かせる機会はそんなにないから、今回は岩沼花トピアでと連絡が行くと、ほぼ東北中からやって来る(ように、僕には見える)。前日近くのホテルや何かに泊まっている人も多いという。いやはや。
バンの中は、運転席の後ろから荷物室一杯に、プラパイプで棚が組んであり、そこの一番下にレールが敷いてあって、そこに機関車やその他諸々の汽車関係、何しろ蒸気機関車は本物だって大変なのに、彼らのは模型だからもう一つ余計に大変。小さく割った乾いた木の板、それを漬ける灯油、ガスバーナー。あ、もちろん最初に捩ったティッシュ。だいたい本物の縮尺で作っているから、石炭をくべる口の大きさが小さい。その大きさに合わせた(物凄く)小さい十能。そのようなものが山のように積んである。これは何と聞き始めると長くなるからできるだけ聞かないようにする。ほとんど、その人の工夫が施してある。そういう物が積み重なって、ついに石炭。いや、その前に、信じられないほどの水。こういう物が機関車以外のところに積んであるから、車の中に泊まるというようなことは考えられない。ここは、線路のそばに、花用の水の蛇口があるので良いんですよと、嬉しそうに話す。もっと話すことはあるが、先に話を進めよう。まだ、機関車には火すら入っていない。いやはや。
もちろん僕は模型好きだ。としても、ここにいて一日真っ赤に日焼けしながら、手伝いだけをしていても心豊かに、一日楽しくいられるのは、僕の専攻が美術だからではないか。よく見て、自分の知っていることに戻し、知っていることを膨らませる楽しみ。これだから爺さん生活はやめられない。続く。