とんでもない所に
とんでもない岩がある。
まだ行ったことは無い。
でもそれはそこにある。
僕は知っている。
2024年 5月16日
ゆるい空気。だが肌寒い。
今日はもう月半ばを過ぎた。端午の節句がすぎて以来、毎日何かしなければいけない事がある日が続いた。ま、たいしたことでは無いのだが。
蒸気機関のことだ。僕が蒸気機関の基本的な動きかたの仕組みを知ったのは、最近だ。
確か僕が通った基礎教育学校では教えてもらったことは無い。蒸気機関という仕組みがワットという人によって発明されて、社会の近代化に大きく貢献したことは学んだ。でも確かそのすぐ後に続けて習ったのは、ガソリンエンジンについてだったように記憶している。中学校の技術家庭科だった。思えば僕は、中学校から汽車通学だったのに。
僕は、Gゲージの汽車の模型を裏庭で走らせるのを楽しみにしている。Gゲージは線路の幅が45ミリの鉄道模型で、日本ではやや大きいので、やっている人はあまりいない。秋保の湯元にある里センターの中で走っている秋保電鉄の模型が確かGゲージだったはずだ。
普通日本で鉄道模型と言うと、今は9ミリゲージの事を指すことが多くなった。そのスケールの蒸気機関車の大きさ(太さ)は、9歳の人の小指ほどの物で、その中にぎっしりモーターが詰まっている。携帯電話のバイブレーター用だ。このモーターができたので、9ミリゲージは爆発的に増えたのではないか。だから勿論、物凄く小さいから、続けて使うと加熱して、すぐ壊れる。その点Gゲージの模型はその5倍の大きさだ。線路さえ引ければ東京までだって続けて走らせることができる。ま、どうでもいい事だが。
天気のいい日に僕の小さな裏庭に線路を引く。その上を、僕の持っているドイツ製の小さな蒸気機関車の模型を「残念だが、電気」で走らせる。前回話したように、線路をひくのは、この程度の小さな電動機関車でも、結構な大仕事だ。ちょっとした事で連結器が外れるし、脱線する。結局、僕はダイシンで一番小さな砂利を何袋か買って来て、線路の下の何ヶ所かに敷いている。ずうっと全線砂利を敷くのが一番なのだが、財布が許さない。ううむ、いつになったら蒸気機関の話になるのだろう。何しろとにかく、蒸気機関を動かすのは、さまざま周りが大変だと言う事だ。さて。
僕は、内燃機関は、何となく爆発で動いていると思っていた。硬い密閉された筒の頭のところで、強い爆発が起こり、その一方的な力が、さまざまなコントロールされた動きに変わって、回転や前進になると言うような。
蒸気機関は違う。行くと戻る両方を蒸気の力で行う。爆発の一方方向ではなかった。
筒の中に蒸気を入れて、ピストンを押す。うまい具合に(これがすごい)小さい弁を作っておいてピストンが最後まで行ったら、空いた側に出所は同じ蒸気を吹き込んで今度はピストンを反対側に押す。押し引き両方を、同じ釜の蒸気で行う。何だかしばらく呆然とするほどのショックでしたね。ここでやめとけば良かったのに。ここまででも、この後の世界にさまざま問題起こしてるのに、でもまだ、地球の上での生き物の仕業は感じられて、さまざま問題が起こっても、何とかできるように思えた。地球上の生き物の大発明!だったのに。
いつから、僕らの技術は、僕らの手を大きく離れていくのだろう。この先、原子力まで行き着くのに、何がどう、人間の中で変わったのか。それとも、湯気を巡っては、何も変わっていないのか。湯気に気づいたことがそもそもだったのか。火を見つけた事よりも。ううむ。
蒸気機関(車)の模型は、こう言う事を僕に思い起こさせる。僕が、日に焼けながら線路を敷いている脇で、蒸気機関車(SLですね)の模型の運転準備が始まる。まず、紙や細技を燃やしてを種火を作る。小さい(模型だから)薪を入れる。薪の火が十分に落ち着いたら、ピカピカの石炭を砕いたものを加える。おっとその前に水を十分にボイラーに入れておかなければいけない。石炭以上に火力の強い物を燃やすと、模型を作るときに使う各種の鑞が溶けるのだという。だからコークスなどは使えず、石炭。
メーターを見て蒸気の圧力をチェックし、汽笛を鳴らして蒸気を確認。シリンダーに蒸気を送り、ゆっくり動かす。あ、勿論全ての動きを始める前に、潤滑部の確認。全てが水と蒸気と深く関わっているから、油性潤滑物を全部に吹きかけるなんてことはできない、あれはグリース、ここは油、そこはCRCで大丈夫。その上でのユックリ動かす。ね、面白いでしょう?
こう言うのは、なんか地球上の生き物がやってるように感じられる。弓で獲物を取る延長上にある力。さまざまな意味で。原子力も同じなのかなあ。しばらく深く考えることができた。